雪に覆われた冬の白川郷をしっかりまぶたに焼き付けた我々はルートを変更し県道73号線を目指すこととなる
通称「せせらぎ街道」と呼ばれる気持ちのいい快走ワインディングロード
我々にとってはまさに大好物な県道73号線を走っていくとやがてその道は自然と国道257号線へと続き下呂温泉に続くのであった
交通量も少なく快調に走行を続ける我々の前に一際大きな立て看板が近づいてきた
「この先通行止め」
「?」
我々アオヤマ軍団の辞書には載っていないその単語に戸惑いつつ意味も解さず先を急ぐ
ほどなく、先ほど見た記憶のある看板が再び我々の前に立ちはだかる
「だから、この先通行止めだって言ってるだろ」
念を押すようなその看板にさすがに我々も一旦停止
後ろから追いついてきた他県ナンバーの自動車の運転手が近づいてくる
「やっぱり、行けないんですかねぇ」
「う~ん…」
ここで説明しよう、高山方面から下呂温泉に向かうルートは主に2つ
定番の国道41号線を走るルートと、
県道73号線を経由し国道257号線を走るルートである
ワインディング大好物な我々が国道257ルートを選んだのは至極当然な選択である
しかし、国道41号線へ合流するまであと13Km地点で我々はその歩を止めることを余儀なくされたのである
国道41号線まであと僅か13Km地点での出来事である
この先が通行止めとなると我々に残された選択肢は2つ
1つは今来た道を引き返し出発地点まで戻った後、国道41号線ルートで再度下呂温泉に向かうルート
もう1つは少しだけ戻って国道472号線へ迂回し国道256号線、国道41号線へと中継し反対方向から下呂温泉に入るルート
いずれにしてもホテルへのチェックインに遅れが生じることは避けて通れない事態となったのである
今回初の試みのビアガーデンスタイルの夕食は6時30分から
ニューハーフショーは9時15分から
ポールダンスショーは10時25分から
白川郷見学はすっ飛ばしてもホテルでのイベントは決してどれも外すことはできない
我々は絶体絶命のピンチに直面したのである
「あんたがね、『白川郷なんて見たことにしちゃえばいいだよぉ』なんて言って勝手に計画変えるからこんなことになるんだろう、オイ克実!お前のせいだぞ!」
だから高橋克実じゃねんだよ!
「道の駅に貼ってあったポスターだって冬の一面銀世界の白川郷だったろ!」
「9月にアレ見せられて『見た気になったろう』って言われても無理があんだよ!」
「そんなズルするから罰が当たったんだぞ!」
「いよぉし、キミがそんなにオレに厳しく当たるなら…」
「アニジャ君この先の様子見てきなさいよぉ、後ろのドライバーさんのためにもね」
「なあんで俺が斥候しなくちゃいけないんだよ、そもそも流れもおかしいぞ」
「この先何があるんだか分んねぇんだろう、君はゲストにそんな危険な任務を命令するって言うのか?バカじゃないの?」
「じゃ、カミジョウ君、キミ行きなさいよ」
しばらくして戻ってきた神ジョーメカ
「イケルっすよ、たぶん…13k先まで行って見てくるのは無理ですけど」
「おう!そうかぁ!!でかしたぞ!」
とそこへ反対方向からやはり県外ナンバーの車が
確信が欲しいてんちょー
「すみませぇん」
止まってくれた車のウインドウが下がると座席にはイケメンと美女のカップル
「すみません、この道国道41号まで繋がってます?」
「大丈夫ですよ、今走って来ましたから」
「チミには聞いておらんよ!」
「繋がってますよ、それよりこの先は…?」
「反対側にも通行止めの看板が立ってたんで…」
「ご安心ください、我々が今しがた走ってきて確認しております」
「良かった」
「チミに言ったんじゃないよ!横のお嬢さんに言ったの!」
「この先も楽しい旅を…アディおぉぉす!!」
「ありがとうございますぅ♡」
「克実ぃ!おまへサイテーだな!」
だから高橋克実じゃねーってよ!!
「ゲストの皆さんこの私が情報収集した結果、先に進めることがわかりました」
「このまま、先に進みましょう!!」
ヒアリーゴォォォォ!!
「自分の手柄にしちゃったよ…」
こうして我々は神ジョーメカと旅の途中に出会った1人の美女の活躍によりルート変更することなく、無事にホテルに到着することになるのであった
時刻は4時30分
我々にとって夕食前の温泉を満喫するには十分な時間が確保されたのである